はりぽたのようなもの

―魔法の国

今日開かれる学校対抗の魔法大会に、僕は母校の代表として参加する。
成績は悪いつもりはないが、学校一というわけではないので、代表に選ばれた時は驚いた。
選ばれたからには全力でがんばろう、そう心に決めて会場に入った。
ライバル校の代表達は皆、強そうな顔立ちで、ローブの着こなしもおしゃれに見える。
そんな中飾りっけのない服を来た小柄でかわいらしい女の子がいた。
学校の代表に選ばれそうにない彼女には、見た目からは想像し得ない魔力が秘められているのだろうか。
代表メンバーの中では一番印象に残った。
大会の開会式が伝統に則り進行される。
その最中、突然会場が騒然とし、混乱に包まれる。


隣国の軍隊が攻めてきた。
政府は緊急事態を宣言。
国境では民間人も参加して応戦している。
そう大人たちが騒いでいる中、代表メンバーの1人が言った。
「僕たちも出撃しよう。魔法には自信があるだろ?」
代表メンバーは全員うなずいた。
「よし、じゃあ急いで更衣室に行って準備だ!」
代表メンバーは全員更衣室に向かった。


更衣室に入り、他のメンバーが各自の荷物を置いてあるロッカーに向かう中、僕は立ち止まった。
「荷物、どのあたりに置いたっけ?」
自分が荷物を置いた場所を思い出そうとしていると、背中に人がぶつかる感触を覚えた。
振り返ると、代表メンバーで一番小柄な彼女だった。
「あ、ごめん。」
彼女は僕の言葉に反応する事なく、目の前にあったジュースの籠に手を伸ばす。
「このジュース、出場者は何本飲んでもいいのよ。」
彼女は選んだジュースにストローをさしながら言う。
「そうなんだ、知らなかった。じゃあ僕ももらおうかな。」
彼女と同じジュースを手に取り、ストローをさす。
ジュースを飲みながら、不思議な感じのする彼女に僕は興味を持った。


「戦争が終わったらデートでもどう?」
言いかけて僕は気付いた。
この台詞は死亡フラグだ。
言ってしまったキャラ、もしくは言われた相手は死んでしまうという。
言いかけた言葉を飲み込み、自分の荷物のあるロッカーに向かう。


―という夢を見た。